記録映画 "Japan's War in Colour " 「日本人への遺言」



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 YouTube で偶然、見付けた日本の太平洋戰爭の記録映画。その出來が上質と思はれたので紹介したくなった。
敗戰後に生まれた我々の時代の日本人は、幼い時から太平洋戰爭のドキュメントは数多く見せられてきた。だが、カラーフィルムだけで構成されたこのドキュメント映画は、私には未見のものであった。そして、その映像の數々も(所々に見慣れた映像も混じってはゐるが)多くは私には未見のものであった。

それらの映像はその当時の日本関係のカラーフィルムを掻き集めたと云った感じで、画質は(特に前半)最惡に近いが、それゆゑにむしろ私には、その後の戰爭へと突き進んでいく日本の事が、まるで「惡夢」の連鎖のやうに感じられていった。

「事実をして語らしむる」とでも云ったふうに、殘されてゐる当時の日本関係のフィルムをたんたんと繋いでいく手法が、おのづと歴史を語り始めるといった感じで、そこにたどたどしい英語による日本人の証言が重なり、末裔日本人の私に思ひ考へさせるチカラタカラを持って迫ってきた。

映像は、昭和初期の昭和天皇の弟、秩父宮の歐州訪問に始まり、戰爭に敗れて人間宣言をした唱和天皇が、原爆後の広島に行幸して、國民の歡呼に應へるところで終ってゐる。

↓戦争前夜の平和なる昭和十二年頃の日本を映した後、欧州訪問の秩父宮がナチスドイツを訪問して、映像は一擧に戰爭の雰圍氣となる
↓滿洲事變、アジア侵略、
↓アメリカへ開戰、ハワイ・パールハーバーの襲撃
↓太平洋上でのアメリカとのはげしい海戦、空中戦。島々での激戰、累々たる死者
↓神風突撃攻撃隊のアメリカ艦船への突撃のシーンが延々と、あるだけすべてと云った感じで續く。突撃に成功したのも、失敗して海上に墜落していくのも、作り物でない記録映像が持つ迫力に圧倒される。
↓沖縄戰、今までに何度も見てゐる斷崖からの女たちの投身のシーン、火焔放射などの熾烈なアメリカ軍の攻撃、投降、民間人の女子供までもが、
↓日本全土への爆撃、飛行機からウンコのやうに投下される無數の爆彈がまるで戲れる惡魔のやうにしながら落ちて行く樣、
そして
↓原爆の投下、この原子雲の迫力も今まで見た以上のものであった。この世界終末的映像に被害者となった子供のコメントが加へられる。その被害者の映像も主に子供たちで、これも作者の意圖なのであらう。
↓焼野原の廢墟となった日本、
↓ポッダム宣言の受諾。ミズーリ号での無条件降伏調印
↓ジェネラル・マッカーサーの進駐。サングラスにコーンパイプを銜へて厚木に降り立った写真で見慣れた、その時の動画、タラップを折り始めた足を止め、睥睨してまるで見得を切る樣が、いかにもカメラを意識して(嫌味な野郎だ
そして、
→敗戰國となった日本、日本人。昭和二十七年十二月、その年の一月に「人間宣言」をした天皇が全國巡幸、広島への行幸。群集した國民を前に、まるで処刑台のやうに設えられた木組みだけの演壇に登り、國民の歡呼に應へやうと手を被ってゐた帽子にやるが、最初はさうしていいものかと迷ってゐるふうであったが、鳴りやまぬ歡呼に帽子を持った手を擧げて振った。そのシーンが、天皇がその身を以て國民の眼前でおこなった「人間宣言」のやうに、私には見えてならなかった。



 かうして日本は一度死に、生まれはって、そして、いま ‥‥