日本人への遺言:龜井勝一郎 1949

 
我々には祖國はない。いや觀念の祖國は多すぎるのだ。或るものはソ連式共産社會に、或るものはフランス式知性に、またアメリカ的デモクラシーに、日本の國粋に、夫々の祖國を夢みつつ國籍喪失の流浪者となる。敗戰によつて一層明確になつたこれは冷嚴な事實ではあるまいか。そしていづれの國の占領にも慣れるであらうか。時と場合によつて、いかなる旗でも掲げるであらう。萬國旗によつて自己の屍を包まうとする悲しき文化國家であるか。  龜井勝一郎『現代人の研究』1949

ハイマアトロス、デラシネ、ノスタルジア
そんな事を感じ思ふ事もなくなつた魂、
放恣な自由のもとで野性と化してしまつた幼稚な魂、
たゞたゞ不滿と憤懣に打ち震へてゐるだけの魂、

かくも無慙に自滅していつた民族


Art of Heart ∈ 思考69空想 ∋ Word of World