常在戰場禪定の勸め & 漱石「なぜ働かないつて?」:Word of World

{前回にひきつづき「常在戰場∞常在禪定」の勸め、

昨日のうちに氣付けばよかったのだが(ニュウスに疎く)今日初めて識ったのですが、日本の Global 人材の現在の最高峰の一人とも云ふべき御方の、公式の場での「シャッラップ」發言が世界中で話題になってゐるやうです。
→ Japanese diplomat tells UN meeting to 'shut up' after being laughed at | Metro News


つい最近の事、歴々たる學歴(東大にハーバード)に經歴(外務省から外交官)の持主の御仁(上田秀明人權人道担当大使)が、國連の委員会の席上、場所柄もわきまへずに(西部劇の酒場でのやうに)「シャラップ」と怒鳴ってしまったのださうです。おそらく、それなりの事情があって(拷問禁止委員会の委員から「日本の刑事司法制度は自由に頼りすぎて中世のやうだ」との發言に逆上して反論したところ場内の失笑を買ひ「なにがおかしい!黙れ」とさらに逆上してしまったらしい)一種の發狂状態にあったのでせうが、しかし、この日本代表には(國家を代表してゐる外交官の心構へとして当然の)「常在戰場」の自覺もなければ、当然と云へば当然ですが、私が折角作ってやった「常在禪定(常在戰場に当然この精神がが含まれてゐなければならないのですが)」の心作りをなされてゐなかったやうです。
Shut up といふ語感からして、かうした公式な場では(かうした場でなくとも一般的に)禁句だらうことくらゐは常識だと思ふのですが、逆上は恐ろしい。素性が出てしまふ(おそらく傲慢な性格の持主なんでせう)。
ですから、これからGlobal人材を目指される方は(公私にかかはらず)私が處方した「常在戰場∞常在禪定」を拳拳服膺kenkenhukuyou=兩手の拳に握りしめ胸に抱かれることをお勸めします。


直接、以上の話とは關係はありませんが(英語係はりで)、明治維新の留學生となって英國に留學した夏目金之助186716はロンドンで孤立して、神經衰弱になり發狂状態となって日本に歸ってきて、この時の體驗もおほいに手傳って夏目漱石といふ大作家になりました。
このイギリスを先頭に、西洋はその帝國主義的侵略主義で世界を食ひ物にすべくGlobal化を始めてゐました。
その西洋の魔手から逃れ、明治維新に成功した明治政府はこれら西洋列強を眞似て「脱亞入歐」をめざしました。天皇を皇帝に仕立て、富國強兵に勉め、明治の國民は奇跡を演じて見せました。日清日露の戰爭に一應勝利して、日本の脱亞入歐は成功したかのやうでした。
しかし、漱石にはさうは感じられなかったやうです。明治日本はあまりに無理してゐる。英國で留學してゐた時の自分のやうに、西洋の壓迫に神經衰弱になってゐると。

明治時代の終り近くになった1909明治四十一年に書いた『それから』のなかで漱石は以下のやうに呟いてゐます。この漱石の獨白こそが明治以來、今に至るまでの「脱亞入歐」に狂奔してきた日本人の、日本人としての最も深いところの感慨、本音のやうに思はれます。


↑ Art of Heart ――――――――― 思考 69 空想 ―――――――――― Word of World ↓

二十一世紀のニートども、このくらゐのものは讀んで理論武裝しておけ。

夏目漱石186716『それから』1909


 何故働かないつて、そりや僕が惡いんじやない。つまり世の中が惡いのだ。もつと、大げさにいふと、日本對西洋の關係が駄目だから働かないのだ。。。それでいて、一等國を以て任じている。そうして、無理にも一等國の仲間入りをしようとする。だから、あらゆる方面に向つて、奥行を削つて、一等國だけの間口を張つちまつた。なまじい張れるから、なお悲慘なものだ。牛と競爭する蛙と同じ事で、。その影響はみんな我々個人の上に反射しているから見給え。かう西洋の壓迫を受けている國民は、頭に餘裕がないから、碌な仕事は出來ない。悉く切り詰めた教育で、そうして目の廻るほど扱き使われるから、揃つて神經衰弱になつちまう。話をしてみ給え大抵は馬鹿だから。自分の事と、自分の今日の、ただ今の事より外に、何も考へてやしない。考へられないほど疲勞しているのだから仕方がない。精神の困憊と、身體の衰弱とは不幸にして伴つている。のみならず、道徳の敗退も一所に來ている。日本國中どこを見渡したつて、輝いている斷面は一寸四方もないじやないか。悉く暗黒だ。その間に立つて僕一人が、何といつたつて、何をしたつて、仕樣がないさ。